インタビュー#5

「いのちをつなぐ震災アルバム」

―― 何かあったとき、子どもたちが“生きた証”として手に取る一冊 ――

中村亜希子さんインタビュー


Q:アルバムづくりを始められたきっかけを教えてください

A:第一子が生まれたとき、写真の数が一気に増えました。まだスマートフォンがない時代で、出産を機に購入した一眼レフで毎日のように撮影していました。「どうすれば大切な写真をきれいに長く残せるだろう」と考えて探し回った末に出会ったのが、当時のクリエイティブメモリーズ社のアルバムでした。すぐに近くの教室を見つけて体験に行き、その日のうちにインストラクター(会員)登録。誰かに誘われたのではなく、自分自身の“探して見つけた出会い”でした。子育てに奮闘する毎日の中、アルバムを作る時間は静かに心を整える大切な時間でした。


Q:写真や思い出に対する気持ちの変化はありましたか?

A:阪神淡路大震災を直接経験したわけではありませんが、知っている街の景色が一瞬で変わってしまった光景を今でも覚えています。

その後、災害で汚れた写真を洗浄して持ち主に返す活動を知り、写真の持つ“人の心をつなぐ力”を強く感じました。

アルバムを残すことは、単なる記録ではなく“命の記憶を未来に渡すこと”なのだと気づきました。


Albumlife:中村さんの言葉から、写真やアルバムが「過去を懐かしむもの」ではなく、「未来へ命をつなぐもの」であることを改めて感じます。アルバムは心の避難袋。見返すたびに“生きている証”をそっと思い出させてくれる存在ですね。



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アルバムを開けば、その時に戻れる──娘と一緒に育む思い出のかたち

村野麻湖さんインタビュー


Q: 「震災アルバム」をつくろうと思ったきっかけを教えてください

A:特別に「震災アルバムを作ろう」と思ったわけではありません。

ただ、もしもの時に「これだけは持って出たい」と思える一冊を作りたいと思いました。

父と母から生まれ、この世に生きているという“証”を、子ども自身がいつか見つめ直せるように。

このアルバムは、子どもたちにとっての“ルーツを伝える防災アルバム”でもあります。


Q:このアルバムにはどんな写真や内容を入れていますか?

A:生まれた当時の家の地図、両親や祖父母の写真、そして出産祝いにいただいた品物を子どもと一緒に撮った写真などを入れています。

「これだけ多くの人に祝福されて生まれてきたんだよ」「あなたにはこんなにたくさんの親戚がいるんだよ」というメッセージを込めて。

家系図ほど堅苦しくなくても、ページをめくれば“自分のはじまり”が感じられるようにしました。


Q:ご家族に「このアルバムを持って出てね」と伝えているそうですね

A:はい。このアルバムは世界にひとつだけのもの。ページを同じように再現することはできません。

だからこそ、「何かあったらこのアルバムを持って出てね」と伝えています。

それは“恐れ”からではなく、“守りたい想い”から生まれた言葉です。

家族の絆を思い出す、安心のお守りのような存在です。


Albumlife:「持って出てね」という言葉には、家族を想う深い愛情が込められています。

アルバムが、命を守る“心の備え”になる──そんな優しい防災の形を中村さんは教えてくれます。



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Q:アルバムをつくってみて、ご自身やご家族にどんな変化がありましたか?

A:子どもたちは、生まれたときからアルバムがそばにある暮らしをしています。

ページをめくりながら「このときはこうだったよね」「このあと〇〇したよね」と自然に会話が生まれる。

アルバムがあることで記憶がより鮮やかに残り、家族の時間を何度でも思い出せるようになりました。

それは、“記録”というより“家族の物語を育てる”時間だと感じています。


Q:最後に、中村さんにとって『アルバムのある暮らし』とは何でしょうか?

A:アルバムは、家族を守るもうひとつの手。

ページをめくれば、笑顔や声がよみがえり、今を生きる力をくれます。

「もしものとき」だけでなく、「今日を生きる勇気」をくれる存在です。

私にとってアルバムは、家族と未来をつなぐ、かけがえのない宝物です。




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